お猿の戯言 homosapiensaru's babble


2012年4月20日[金] 東博・平成館へ

普賢延命菩薩像/平安時代12世紀中頃
普賢延命菩薩像/平安時代12世紀中頃
馬頭観音菩薩像/平安時代12世紀中頃
馬頭観音菩薩像/平安時代12世紀中頃



「ボストン美術館・日本美術の至宝」を観る。

平治物語絵巻の炎の表現をこの眼で観たいと思い出かけたが、第一室の仏画にやられてしまった。

これまで、仏画といえば鎌倉時代のものがストイックで好きだなぁと思っていたが、平安時代のおおらかさにキュンときてしまった。

想像力と描画力と装飾性と精神性。背景の神秘的な奥行きと全体から細部の隅々にまで行き渡る形の面白さ。神仏へ向かう精神がさらにその美に拍車をかけるのか。
イラストレーションだとか絵画だとか、デザインだファインアートだとかいう垣根を越えた絵としての面白さ。ジャンルを目指すことの無意味さを痛感する。

参ったと同時に魂を奮い立たせるこのエナジーの在り様は、癒しとかいう生易しいものではなく、この世の救いだ。

仏画だ。今後はこの考え方を研究しなきゃと小鼻が膨らむ。

が、大事なことは目の前のものにひれ伏すことではなく、仏画の起源を再び観ることだ。先決すべきは、インドで描かれた大元の仏画を辿ることだ。

インドの古来のものと平成館の会場で対峙している仏画との比較をすれば、ここで自分が観ているものは日本人の美意識といったものかもしれない。形骸化された一様式としてのものに踊らされることなく本質を見極める眼を持つことが大事ではあるが、日本人の様式化には大いに関心がある。

会期中にもう一度観に行こう。




2012年4月15日[日] OB・毛塚隼人の個展のお知らせ



この春卒業した毛塚隼人の個展が今日から始まる。
ぜひ、足を運んでください。

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Hayato Kezuka Solo Exhibition "CAVE"

@ARTON Gallery
2012.4.15 (sun) - 5.6 (sun)
12:00 - 21:00

Opening Party
4.15 (sun) 19:00 - 21:00


ARTON Gallery
〒150-0042 東京都渋谷区 宇田川町29-8 2F
Phone : 050-5539-6625
Fax : 03-3795-8372
Email : arton.jp@gmail.com


大きな作品やドローイング多数あります。
隣接するショップでTシャツも販売しています。
ぜひいらしてください。

 → ARTON.CO.LTD





2012年4月14日[土] 銅版画



名古屋の個展用に銅版画を制作し始める。
オディに手伝ってもらいながら進める。

銅版画というものは、切っ掛けは自分で与えながらも、委ねるということで出現する世界だ。

自分のクリエイションなのに手を下せない時間があって、それが逆に意外なクオリティをもたらすこととなるから面白い。全部がんばらなくて、委ねるということを積極的に取り入れることで相手が俄然いい結果を出そうと動いてくれる。手を掛ければ、手を掛けただけの見返りをくれるから面白い。

銅版に一本の線を引っ掻いて刷るだけでも、表情豊かな線が現れる。
それを腐食したら、また別の線が現れる。


果実とも野菜ともつかない悩み/2012/銅版画/150×99mm




2012年4月12日[木] お花見



いつも集まる卒業生たちとの呑み会の名称が決まった。

「猿呑み」

本当は九段下に集合して千鳥ヶ淵の夜桜を観て、靖国神社の境内の屋台で呑みまくろうと決めていたのだが、仕事を片づけていたら遅くなってしまった。
結局、新宿三丁目に集合し直して、呑むことになった。

お洒落イラストレーターの拓人が薦めるピザの旨い店(ほんまに旨くてびっくり!)に落ち着き、画家の風子とイラストレーターの美穂子と四人でわいわいと過ごした。銅版画家のオディが来れずに残念!


帰り、美穂子を送って三名は桜の観直しということで花園神社へ。
しだれ桜がきれいだったなぁ。


この「猿呑み」はいつもほんとうに楽しい。幸せだなぁ。




2012年4月11日[水] 第10回TIS公募展

チーム工芸大
チーム工芸大



東京イラストレーターズ・ソサエティが主催する公募展で我が教え子たち5名が入賞・入選を果たした。
応募者914人(応募作品総数2,470点)の中から厳選された38名の内の5名だから、なかなかがんばったと言えるだろう。面白い絵を描くヤツは他にもいるがそう易々とは入れてくれない。まぁ、だからこそ面白いんだけどね。

今日は、授賞式だ。
厚木の授業を終えて駆けつけたが、なんとか間に合った。
おおいるいる。入賞・入選をした教え子たちが緊張した面持ちで会場にいる。

いわゆるグランプリや銀賞といった賞はいただけなかったが、三人が審査員賞をいただくことができた。なかなかの成績ではないか。

2010年に卒業した鈴木紗穂と村松佑樹。この春卒業した大地咲穂と今西真里奈。現4年生の黒田愛里の5名だ。

イラストレーターとして活躍しているOB・OGの遠藤拓人と吉田美穂子も駆けつけてくれ、授賞式の後、居酒屋へ移動し、みんなで祝い酒をした。

この不景気ですぐに仕事につながるかどうかはなんとも厳しいものはあるが、頑張りや努力は必ずや何かをもたらすものだ。それは信じていただきたい。精進することを継続する者のところに神さまは降りてくるのだ。ほんとよ。

みんなこれまで以上にファイトだ!




2012年4月4日[水] こんなところに!

左下のおじさんは相当反省しとるが、<br>どないしたら呪いが解けるのやろ…。
左下のおじさんは相当反省しとるが、
どないしたら呪いが解けるのやろ…。



厚木キャンパスの帰り、
東名で急にモヨオシて、
海老名のサービスエリアに立ち寄る。

小便器の前のスペースに鉢植えが置いてある。
用を足しながら無意識にそれをぼーっと眺めていた。
用が済んで、しゃきっとしたところで意識が戻る。

「おるわ!おるわ!こないなところにいてはる〜!」

魔法によって三色すみれに変身させられたおじさんたちが
こんなところに幽閉されている。

どないな罪を犯してこんな姿になったんや?




2012年4月3日[火] 暴風雨



入学式後のガイダンスの途中で雨風が強くなってきたので、早々に切り上げて新入生とその父母たちを帰路へ着かせたが、結局これから酷くなる時に帰してしまったようで申し訳なかった。

数名の教員が校舎の中に取り残されていた。

風雨は弱まるどころかどんどん勢いを増して、窓ガラスを激しく叩く。
どうせ、小田急のことだから止まってるに違いない。

18:00を過ぎないと衰えないことを天気予報で知り、うんじゃぁシロコロでも食べながら雨宿りすることにするかぁ…とタクシーを呼び、4人で駅の近くのお店で降りた。

みんなは生ビール、私は黒ホッピーで憂さを晴らしながら、コンロでシロコロを焼きつつ、風雨の衰えるのを待った。

正解!正解!

シロコロ、旨い! 酒、愉しい!

そろそろいいかなぁと駅に向かうと、人で溢れ、ごった返していた。まだ不通のままだ。タクシーを待つ人の列がこれでもかと続いている。

ダメだぁ!もう一軒行こう!…と二軒目を目指す。
二軒目は、魚が旨そうな居酒屋で、生タコの刺身が旨かった!
みんなは泡盛、私は芋焼酎のお湯割りでご機嫌!憂さ晴らしの続きを愉しむ!

こういうのもたまにはいいね。




2012年4月2日[月] 朧月





往路に木瓜を愛でて

めちゃくちゃ陽気になる




帰路に朧月を愛でて

めちゃくちゃ妖気になる





2012年4月1日[日] 六本木へ

©osamu nishikawa
©osamu nishikawa
右側が御大だ。
右側が御大だ。



写真家、料理人、文筆家、画家と多彩な西川 治氏の今回は画家の才量を発揮した展覧会「西川 治 miao 展/Osamu Nishikawa 油絵」の世界に触れようと六本木へ出かけた。
今日から4月9日[月]までサボア・ヴィーブルという六本木のAXISビルの3Fにあるギャラリーで催されている。

サボア・ヴィーブルのホームページにはこんな風に書かれている。

西川 治さんほど「肩書き」をひとことで言いあらわすのはむずかしい。本業はカメラマン…猫やバレリーナの写真でその名を知られ、そして、料理人…世界を旅し、美味しい料理をこよなく愛し、素材を生かすべく惜しまず、大胆な調理で人気を博した“男の料理人”の先駆者です。そして、文筆家としての作家活動…自らの料理を撮影し、レシピーを添えた料理本や、“食”をテーマのエッセイなど、たくさんの本を出版している。

そして、そして、今回の展覧会だが、15年以上前から油絵の制作にエネルギーが注がれているということだ。今回のモチーフは「猫」!このモチーフはずるいぞ〜!会場は猫一色、猫だらけ。

通称だったか自称だったか忘れたが、西川さんには和製マストロヤンニ(イタリアの俳優)というあだ名があって、この和製マストロヤンニの描く絵は、自然体なんだか、いい加減なんだか、考えてんだか、考えてないんだかはっきり言ってよくわからない。けど、なんだかいい絵がぽんっとあったりする。西川さん本人を目の前にすれば、そのテキトーさが味のある練られたものだということがよくわかる。高田純次的な面白さがあって、実は切れ味がいい。

絵の方はお時間があれば観ていただけるので足をお運びくださいと言えるのだが、料理人としての西川さんの凄さは、オープニングでしか味わえないので残念だ。とにかくどの料理も美味かった。西川さんは、こうしたオープニングの日に必ずご自分の料理を用意して客をもてなしてくださる。これが心に沁みるのだ。

こういう人が周りにいると勇気づけられ、気持ちが少し楽になる。憎いおやじだホント。
そんな西川さんとの出会いは意外と古くて、もう結構な時間が経っている。
今日は久しぶりにしっかり話すことができたし、美味しい料理にもありつけたしで、大満足だ。

西川さん、また会いましょう!