お猿の戯言 homosapiensaru's babble


2010年12月10日[金] 絵画設置&バーネット・ニューマン展

頼もしい三人組でした
頼もしい三人組でした



依頼されていた絵を描き上げ10月の頭にお届けに上がったものの、壁に掛けるのが一人ではむずかしく、断念したまま月日が経ってしまった。ごめんなさい。

アシスタントを三人連れてようやく今日、再度取り付けに伺った。

設置する壁は階段の踊り場で窓の上に位置する高いところにある。
二ヵ月も絵は床に置かれたまま、それでも居心地よさそうにしていたが、絵というものは壁に掛けると生き生きとするものだ。

三人のアシスタントにきびきび働いてもらって、一分の狂いもなく一発で掛けることができた!

いやぁ、壁に掛かるとやっぱり違うよなぁ、絵ってヤツは!よかったよかったぁ!

クライアントのSさんにも喜んでいただき。アシスタントたちも満足げだった。

みなさん、どうもありがとう!感謝です。


その後、ご褒美のため回転しない寿司屋に行って、三人のお腹を満足させ帰路についた。


ⓒhiroki taniguchi「これから生きていくのに本当に必要なこと」2010 80.3cm×100.0cm






その後、初日にじっくり鑑賞できなかったので岩松の個展会場に寄った。
その場にいた彼にいろいろと物言いし、会場を後にした。
一番気になったのは、展示されている作品点数が多いことだ。
それにしても、昨年よりも一段とよくなっている。

重力から解き放たれた精神が絵を描いている。



そうだ!川村記念美術館で開催中のバーネット・ニューマン展が12日までだった。
という訳で、思い切って車を飛ばし佐倉へ向かった。

期待し過ぎたせいか内容はもう一つだった。というのは、展示されている作品がニュ
ーマンの中でも選りすぐりのものではないからだ。
しかし、彼の絵画への思想に間近に触れることができたのは有意義だった。この純粋
な自由を開拓する精神が真実を創る。


今日は一日充実した日だった。


バーネット・ニューマン 《 アンナの光 》 1968年 展示写真撮影:渡邉修

バーネット・ニューマン 《 アンナの光 》 1968年<br>展示写真撮影:渡邉修


2010年12月1日[水] 家庭画報1月号発売

家庭画報1月号 p.185に掲載
家庭画報1月号 p.185に掲載



絵を描かせていただいた広告の仕事が家庭画報1月号に掲載されている。

福砂屋という老舗のカステラ屋さんの広告だ。
10月にカステラの本場ポルトガルに出発する直前に入ってきた仕事で、何やら呼ばれているのかいなぁ?…と考えるところが自分らしくて可笑しい。
これから一年間、家庭画報に季節ごとにあと三回掲載される。

今回は、クライアントの社長の意向により絵馬をテーマに描いた。
琳派風のタッチで仕上げてみたが、先方が大いに気に入ってくださったようで一安心だ。

最近、和のテイストを求められるケースが多い。
日本画の出身ですか?なんて聞かれたこともよくあった。
自分の中で、自分の絵が日本的だとはあまり考えないのだが、確実に日本を押さえた画風を持ち合わせていることは事実だ。しかし、自分自身は西洋も東洋も分けて考えてはおらず、その両方にまたがる、または、そのいずれにも存在していないものたちをも含めてのありとあらゆる造形の面白さに共通するエッセンスを自分のものとしたいという傲慢な欲求はず〜っと変わらず持ち続けている。

次回は4月号だ。次の掲載分の打ち合わせが数日後に控えており、その直後にラフを出し、年内中に方向性が決まり、年明け半ばには入稿するという段取りになっている。
ちょうど個展の制作期間と重なり大変ではあるが、これもいつものこと。常にいくつもの仕事が並行して走っている。
ひとつずつしっかり仕事をこなしていくことでしかない。しかも、相手に満足をさせながらだ。


イラストレーションの仕事は、自己満足では成立しない。
仕事で喜ばれる絵というのは、ある偏りがあって、そこから少しでも逸脱するとたちまちNGが出る。絵ということだけを考えればいろんな絵が在っていいはずなのに、グラフィックデザインというフィールドにおける絵、特に広告の世界の絵にはかなりの制約がある。

だから積極的に個展をし、バランスを保っている。

しかしながら自分の思いとは裏腹に、個展の作品を観て、本当はこういう仕事がしたいのですねとか、絵描きやアーティストになってしまったからもうイラストレーションやデザインの仕事には興味ないのですねと決めつける人がいて困るが、そういうことではない。誰かに聞いた話だが、「谷口さんはもうイラストレーションやらないよぉ〜」と言いふらしている人がいたとか…。

美術の世界でもデザインというフィールドに携わっている者を忌み嫌うケースがあるが、この世に生を受けた以上、谷口広樹がやりたいようにやるさ。それが自己にとっても他者にとっても喜ぶべきなことならば、期待されることや望むことをするまでよ。